ベンチャー企業で働く学生のブログ

東京のベンチャー企業でインターン中。就職活動やキャリア、読んだ本、ニュースなどについて、日々考えたことを発信していきます。読者登録はお気軽にどうぞ。

ビジネスで社会貢献したい人におすすめしたい本

「社会のために働きたいっす!」

こんなことを本気で思う方が読むべき一冊、それが山口絵里子氏の『裸でも生きる』です。

 

裸でも生きる ~25歳女性起業家の号泣戦記~ (講談社+α文庫)

裸でも生きる ~25歳女性起業家の号泣戦記~ (講談社+α文庫)

 

 

 1. 株式会社マザーハウス代表取締役社長 山口絵里子さん

マザーハウスという会社をつくり、途上国から世界に通用するブランドをつくることを目指して奮闘してきた山口絵里子さん。パワフルで、ジェットコースターのように激しく、そして全力で生きてきたことを感じられます。「起業したい」「社会のために働きたい」などを口に出すのは簡単だけど、マザーハウス創業当時の苦労を知れば、本当に困難な道だと実感できます。

 

マザーハウス」、「山口絵里子さん」。片方でも初耳って人は、以下の記事を読んでおきましょう(笑)

goo.gl

詳しい内容は、ぜひ本書を読んでみていただきたいのですが、はっとさせられた部分について、自分なりにまとめてみました。

 

2. 何者として、社会問題に取り組みたいか

 山口さんは学生時代、ワシントンの国際機関で働いています。 国際開発に興味を持ち、それ以来国際機関で働くことを目指していました。そこで働くのは、例えばオックスフォード大学大学院を経済学で卒業した人や、アルゼンチンの裕福な家庭で生まれ育った人。途上国の実情を、生身の感覚で知っている人はいませんでした。

「国際機関はいつだってトップに存在する。現場では、NGOを使い、そしてフィールドで生臭い活動ができる人たちを使い、僕たちトップは頭を使う。正論だと思うよ」

 (『裸でも生きる』P.66, 67より)

これは山口さんの同僚からいわれた言葉です。実際に、援助の全体的な方向性は、国際機関が決め、それを実行していくのが現場の役割と捉えることもできるかもしれません。当時の山口さんはこのことに違和感を感じました。現場を知らずに理論だけで政策を作っていては、現場の声が全く反映されないと。

  山口さんは結局、アメリカではなく、「現場」で社会問題に取り組む決意をしました。自分のやっていることが本当にインパクトがあるのか、現場の感触を確かめながら活動していきたいと考えたからです。

 しばしば「官僚になって社会を変えたい!」などと言う人がいます。しかし、当たり前ですが、社会を変える担い手は、行政のみではありません。教育を例に取れば、現場である先生や、教育委員会文部科学省などの行政機関がありますよね。社会を実際に変えていく主体は、現場にあります。もちろん国家の中枢も無意味なわけではありません。どちらの立場にもメリット・デメリットがあるはずです(ちなみに「産業創出支援」や「ベンチャー支援」も行政が取り組もうとしています。このあたりについての意見も今度書いてみようかと思います)。

 みなさんは、どのような立場で社会を良くしたいでしょうか?今一度考えてみると良いかもしれません。

 

3. ビジネスは、あくまでビジネスである

 マザーハウスが目指しているのは、途上国から世界に通用するブランドをつくること。一ブランドとして優れた商品になるよう努力しているわけです。言い換えれば、「途上国が貧しいから援助したい」ということがマザーハウスの商品を買う理由になってはいけないのです。

モノの意味や、心のコアにあるたくさんの熱い想いを、社会に伝える場や方法はたくさんあるわけで、卸先や取引先へ伝えるべきものは、まったく別物だ。

(『裸でも生きる』P.165, 166より)

 ビジネスとは、相手のニーズに応えることです。したがって、「貧しい人を助けたいから買う」という売り手視点のビジネスは、本来望ましいところではありません。継続的に利益を得て生活を安定させていくためにも、自分たちは人々を喜ばせるものをつくっている誇りをもって働くためにも、より良い商品をつくって「これが欲しい!」と思ってもらうことが最重要なのです。

 近江商人の言葉にあるように、やはり”商い”とは、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三方良しを追求しなければいけないのでしょう。

 

 

 ソーシャルビジネスという言葉はずいぶん有名になりました。継続的に利益を追求しながら社会課題解決に挑む人は増えています。しかし一方で、まだまだ「ボランティア活動」の延長と捉えられることも少なくありません。ソーシャルビジネスは、ビジネスと同様のスキルが求められる非常に厳しく、一方でやりがいもある領域と言えるのでしょうね。ソーシャルビジネスに興味がある方は、フローレンスの駒崎弘樹さんのエッセイ『「社会を変える」を仕事にする』もおすすめです。起業までのストーリーは、エッセイという形で美化されてもこんなにハチャメチャなのかと実感すると思います(笑)

ではでは。

 

「社会を変える」を仕事にする: 社会起業家という生き方 (ちくま文庫)

「社会を変える」を仕事にする: 社会起業家という生き方 (ちくま文庫)